2026年のフィルム市場は、数年前と比べてラインナップに変化が生じています。Fujifilmがプロ向けフィルムの多くを廃盤にした一方、Kodakは複数の銘柄を継続し、新興ブランドも登場しています。この記事では、現在入手可能な主要35mm銘柄の特性を実使用の観点から比較します。
※価格は2026年4月時点の参考価格です(36枚撮り)。フィルムの価格は近年変動が大きく、購入時には最新価格をご確認ください。
Kodak カラーネガフィルム
Kodak Portra 400
価格帯:約¥4,800/本(5本パック¥24,000) ISO:400 用途:ポートレート、ウェディング、自然光撮影全般
Kodakのプロフェッショナルラインを代表するフィルムです。粒状感が少なく、肌色の描写が自然でありながら美しい。ハイライトは柔らかく飛び、シャドウはしっかりと階調を保ちます。
オーバー露出(+1〜+2段)で使うことで、よりクリーミーで明るいトーンが得られます。これはPortraを使う多くのフォトグラファーが実践している方法です。ISO 160と800もラインナップにあり、光条件に応じた選択ができます。
ただし価格は高め。プロやこだわりの強い愛好家向けの位置付けです。
Kodak Ektacolor Pro
価格帯:Portraよりやや抑えめ(2026年3月に詳細発表) ISO:400 用途:ポートレート、スタジオ撮影
2026年3月、KodakはPortraシリーズの一部をEktacolor Proブランドとしてリブランドしました。描写特性はPortraの系譜を継ぎながら、価格をやや抑えたラインナップとして展開されています。国内での流通が安定してきたら選択肢として有力です。記事執筆時点では未発売のため、実際に使ってみるのが楽しみですね。
Kodak Gold 200
価格帯:約¥1,500〜1,800/本 ISO:200 用途:晴天屋外、日常スナップ
かつて「コダックゴールド」として親しまれてきた銘柄が、35mmフォーマットとして再登場しました。温かみのある黄色がかった色調が特徴で、晴天下の屋外や明るい室内でよく映えます。
粒状感はほどほどで、価格が手頃なため「フィルムの練習に多く撮りたい」という方に向いています。ISO 200のため、曇天や室内ではやや光量が不足することがあります。
Kodak UltraMax 400
価格帯:約¥2,500/本 ISO:400 用途:日常スナップ、旅行、オールラウンド
GoldよりISO感度が高く、汎用性に優れます。Portaに比べてコントラストがやや強め、色がはっきりした描写です。暖色系の発色が強く、夕方の光や人工光との相性が良い。
初心者が最初に手を出すフィルムとして最も現実的な選択肢であり、経験者がコスト意識で使うフィルムでもあります。安定した品質と手頃な価格のバランスが優れています。
Kodak ColorPlus 200
価格帯:約¥1,900/本 ISO:200 用途:晴天屋外、コスト重視の練習用
入門用フィルムとして手頃な価格帯。UltraMaxよりコントラストが控えめで、シンプルな発色が特徴です。ISO 200のため屋外・晴天向きですが、低コストで多く撮りたいときの定番です。
Fujifilm 現行ラインナップ
Fujifilm 400
価格帯:約¥1,980/本 ISO:400 用途:日常スナップ、ポートレート
Fujifilmが現行ラインナップとして展開するカラーネガフィルムです。青みがかったクールな色調が特徴で、肌色は自然な描写。緑の発色が美しく、風景撮影との相性が良い。
ISO 400と汎用性が高く、Fujiのカラーサイエンスを手頃な価格で体験できる銘柄です。
Fujifilm 100
価格帯:約¥1,500/本 ISO:100 用途:晴天屋外、風景
粒状感が非常に少なく、クリアで繊細な描写が特徴。晴天の屋外撮影に最適で、Fujiらしいクールなトーンが出ます。ISO 100のため光量が豊富な環境に限られますが、その条件下では高い解像感が得られます。
Fujifilm Velvia 50
価格帯:約¥2,200〜2,800/本 ISO:50 用途:風景、花、自然
カラーリバーサルフィルムの中で最も鮮烈な発色を持つフィルムです。彩度が非常に高く、特に緑と赤の描写は他のフィルムでは得られない鮮やかさです。
ISO 50のため三脚必須に近く、露出の許容幅が極めて狭い(±1/3段程度)。上級者向けのフィルムですが、使いこなせたときの表現力は圧倒的です。
Ilford モノクロフィルム
Ilford HP5 Plus 400
価格帯:約¥2,000/本 ISO:400(実用上800〜1600プッシュも可能) 用途:ストリートスナップ、ポートレート、オールラウンド
モノクロフィルムの入門としても、プロの実用フィルムとしても長く使われてきた名銘柄です。中間調が豊かで、コントラストはほどほど。露出の許容幅が広く、ISO 1600にプッシュ現像しても実用的な画質が得られます。
自家現像との相性も良く、扱いやすさから世界中のフォトグラファーに愛されています。
Ilford Delta 400
価格帯:約¥2,500/本 ISO:400 用途:繊細な質感表現、ポートレート
HP5と同じISO 400ですが、「T粒子」技術によって粒状感が少なく、シャープな描写が得られます。肌の質感や柔らかいテクスチャーの表現が特徴で、ポートレートに特化して使う方も多い銘柄です。
HP5より価格はやや高く、また露出の許容幅もHP5ほど広くありません。ある程度露出の扱いに慣れてから試すのが向いています。
Kodak Tri-X 400
価格帯:2,000〜2,400円/本 ISO:400 用途:ストリート、ドキュメンタリー、高コントラスト表現
1954年から続く歴史的なフィルムです。Ilfordとは異なり、荒めの粒状感とハイコントラストが特徴。マグナムの写真家たちが長年使い続けてきたフィルムとして、「記録写真的な力強さ」を求める方に向いています。
CineStill(シネスティル)
CineStill 800T
価格帯:約¥3,500/本 ISO:800 用途:夜景、人工光下、タングステン光源
Kodakの映画用フィルムをC-41現像(通常のカラーネガ現像)で使えるよう加工したフィルムです。タングステン光(電球色)に最適化されているため、夜景や店舗内での撮影で独特のカラーバランスが出ます。
ハレーションが生じやすく、強い光源の周辺に赤いにじみが発生しますが、これを表現として積極的に活かす撮影者も多い。他のフィルムにはない独特の「映画的質感」が魅力です。高価なため、特殊な表現を求めるシーンで限定的に使うのが現実的です。
銘柄選びの実践指針
| 目的 | おすすめ銘柄 |
|---|---|
| 最初の1本・オールラウンド | Kodak UltraMax 400 |
| ポートレート・人物 | Kodak Portra 400 |
| 風景・自然 | Fujifilm Velvia 50 |
| コスト重視の練習用 | Kodak Gold 200 / Fujifilm 400 |
| モノクロ入門 | Ilford HP5 Plus |
| モノクロ上級・質感重視 | Ilford Delta 400 |
| 夜景・映画的表現 | CineStill 800T |
使用したフィルムの銘柄と撮影条件を記録することで、次第に「自分の好みのフィルム」が見えてきます。複数のフィルムを試すときは、Latentのような管理ツールで銘柄・現像情報・撮影結果を整理しておくと、振り返りがしやすくなります。各銘柄の在庫管理をLatentで一元管理すれば、どのフィルムがいつ撮影に使われたかも一目でわかります。
まとめ
2026年のフィルム市場は選択肢が絞られつつありますが、それでも主要銘柄はしっかりと入手可能です。迷ったらまずUltraMax 400、こだわり始めたらPortra 400やIlford HP5、そして特殊な表現にはVelviaやCineStillと、目的に応じて使い分けることがフィルム写真の深みにつながります。
同じ場所を異なるフィルムで撮り比べる「フィルム実験」も、非常に楽しい経験です。ぜひ試してみてください。